トラクションコントロールシステムとはどんなもの?
雪道の走行でもっとも怖いのが、スリップです。
そんな不安を解消するために搭載されているのが、トラクションコントロールシステムです。
「トラクション」とは「駆動力」の意味、つまりバイクの駆動力をコントロールするシステムなのです。
通常の走行では、タイヤが路面にしっかりついて摩擦を起こす形で安定した走行が維持されています。
ところが路面が濡れていたり凍結していたりすると、摩擦が十分に起こらなくなることでタイヤが空転しやすくなってしまいます。
これがスリップの大きな原因となるわけですが、こうしたグリップ力が低下している状況でトラクションをコントロールすることで空転を防ぐことができるのです。
トラクションコントロールの基本的な仕組み
では、どうやってグリップ力が低下している状態でタイヤの空転・スリップを防ぐことができるのでしょうか?
その仕組の鍵となるのが、エンジンの回転数の制御です。
路面が滑りやすくなった状態を検知するとともに、エンジンの出力を抑える機能が働きます。
燃料の供給量が現象する、点火を停止するなどの形で出力が抑えられたうえで、自動的に駆動輪のトルクが調節されるのです。
また、タイヤの回転数を検知する機能も備えており、バイクの速度と回転数・回転速度の変化から異常を感知したうえでタイヤの空転を防ぐための機能が働くのです。
簡単に言えば、タイヤの回転数を抑えることで空転のリスクを軽減させることができるわけです。
こうした仕組が自動的に働くことによって、路面の状態を問わずに安定した走行が可能になります。
このように凍結した路面を走行する際に非常に大きなメリットをもたらすトラクションコントロールですが、注意点もいくつかあります。
例えば、思いっきり加速したいときにこのシステムの制御機能が働いてしまい、エンジンの回転数か十分に上がらない、といったケースも起こり得ます。
実際に加速しようと思った時にトラクションコントロールが働くと、アクセルペダルの操作と実際の加速状況との間にズレが生じ、十分な爽快感を味わえなくなってしまうこともあるのです。
この点はスポーツ走行をするときに起こりやすく、ちょっと注意が必要になるかもしれません。
なお、トラクションコントロール機能はオン・オフの切り替えが可能です。
ですから、この機能が必要ない路面状況ではオフにして走行し、ちょっと危なそうだなと感じたらオンにする、といった使い方の工夫も可能です。
もちろん、トラクションコントロールがあれば絶対にスリップしないというわけではありません。
あくまで補助装置ですから、路面が濡れている・凍結しているシチュエーションでは十分に安全運転を心がけるのが大前提です。